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Q.42 登記官の職権による地図訂正

質問
登記官が、職権で地図の訂正をすることができるのはどのような場合がありますか。

回答

地図の訂正は、登記官が職権により行うものであり、通常は土地の所有者その他の利害関係人からの地図訂正の申出により行う事案が多いといわれています。


 地図訂正の手続について、法令には何ら規定されていませんが、規則第16条第1項前段においては、「地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができる。」と規定しています。すなわち、地図訂正の手続に関しては、表示に関する登記のように、土地の所有者又は利害関係人(当該土地の用益権者、担保権者のほか隣接地所有者等)に申請義務を課すことなく、申出の形式が採られています。これは、法第14条において「登記所には、地図及ビ建物所在図を備え付けるものとする」と規定されていて、地図及び建物所在図は、登記官の職権により登記所に備え付けることとされていることから、その地図等に記載されている内容に誤りがある場合には、登記官が職権をもって訂正することとされているものです。


 しかし、登記官は地図及びその現地の状況を常に把握することは非常に困難なことであり、通常の場合は、土地の分合筆の登記申請、建物の表示に関する登記申請、あるいは不動産の取引(売買、担保の提供)等のために、所有者その他の利害関係人又はそれらの代理人(土地家屋調査士等)が地図を閲覧してその誤りを発見し、登記官に対して地図の訂正の申出をすることが多いといわれています。


 地図訂正の申出は、原則として書面により土地所在図又は、地積測量図を添付することになります(規則16条5項2号)。


 地図訂正の申出に基づき、当該地図の記載に誤りのあることを登記官において認められるときは、地図の正確性を保持するため地図の訂正をすることになりますが、これは登記官の職権により行われることになります。すなわち、地図訂正の申出は、登記官の職権発勤を促すものといえます。


 以上のほかに、軽微なものについては、口頭による申出が認められる場合があります。例えば、過去に分筆の登記をした土地について登記官が当該地図に分筆線の記入を遣漏し又はこの記入を誤った場合や地番の記入を誤った場合、若しくは合筆の登記をした土地について地図の手入れを遣漏している場合には、登記官は、口頭による申出又は自らの発見により既に登記所に提出されている地積測量図等の資料に基づき、職権により地図訂正(修正)をすることができます。


 また、和紙により作製されている旧土地台帳付属地図を再製した際、筆界等を誤って移記した場合等にも、登記官は職権によりこれらの地図を訂正することになります。


 さらに、地方税法第381条第7項の規定に基づき、市町村長から地図訂正の申出を受けた場合は、登記官はその事実を調査し、相当と認められるときは職権に基づき地図訂正を行うことになります。