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Q.39 公図

質問
「公図」とはどのようなものをいうのですか。

回答

いわゆる公図とは、旧土地台帳法施行細則(昭和25年法務府令第88号)第2条第1項の規定に基づく地図のことであり、実務上は、旧土地台帳付属地図とも称され、明治6年から同14年にかけて実施された地租改正事業によって作成された改租図(野取絵図、字限図)、及びこれを基に明治17年から同21年において全国的に実施された地押調査事業によって作成された地押調査図(更正図)のことをいいます。


作成目的及び作成経緯が法第14条の地図とは根本的に異なっている公図は、不動産登記法上の備付け地図と解されていないものです。しかし、法第14条の地図に比べて精度の点ではかなり劣るものの、公図に記載されている土地の形状及び配列等の点では、相当程度の信頼性が認められることから、法第14条の地図が整備されていない地域では事実上これに代えて、表示に関する登記の事務処理にこれを利用し、また、土地の取引や訴訟上の重要な資料として広く活用されてきました。


一般的に公図の精度が劣っているといわれるゆえんは、作成経緯からみた場合、改租図は、政府の命によって全国的に統一した規則により作成されたとはいえ、測量技術の未熟な時代のものであり、しかも、村民自らの手で、あるいは専門家に頼んだりして測量を行い、その作成手順は、1筆ごとの一筆限図を作製し、これをつないで、字限図及び村限図を作製したといわれていることからです。検証については、政府の官吏が測量等に誤りがないか、現地に赴いて確認する方法がとられていました。


公図の精度について判例にみられる評価は、一般的には、当該土地の位置及び区画を現地において特定する現地復元能力を有しておらず(東京高等裁判所昭和62・8・31判決・判時1251号103頁)、筆界が直線であるか否か、あるいは土地がどこに位置しているかといった定形的な面においては比較的正確であるが、距離及び角度といった定量的な面では不正確なものである(名古屋地方裁判所昭和53・9・22判決・下民集29巻9~12合併号272頁)としています。また、地域的な特徴として、田畑の耕地や宅地に比較し、地租徴収上収入の少ない山林や原野等については正確性に欠け(青森地方裁判所昭和60・4・16判決・訟務月報32巻1号23頁)、公道等は比較的良好な精度を持つ(東京高等裁判所昭和32・1・30判決・判夕68号93頁)としており、村の中心部に比べて中心部でない土地は精度が低い(東京高等裁判所昭和57・1・27判決・判夕467号109頁)とされています。