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Q.16 代位登記

質問
共有者の一部との間に成立した買収協議を代位原因とする共有土地の分筆登記の代位申請はできますか。

回答

共有者の一部の者との間には買収協議は成立することはありません。成立するのは共有持分権の買収協議であり、右の一部の者を相手方とする仮登記仮処分命令を得たとしても、これによって共有土地の分筆登記を代位申請することは許されません。

本来、土地一筆の一部の購入者は不動産登記法第59条第7号、第8号〔債権者代位権による登記〕により、代位原因証明情報を添付し、当該土地の分筆登記の代位申請ができます。

民法第423条〔債権者代位権〕
 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

*①代位登記(不登59、7,8)、買戻権の代位行使(582)、租税徴収に準用(税通42)、②裁判上の代位手続(非訟72-79)

判例要旨〔民423〕

◎未登記不動産の買主は、売主に対する移転登記請求権を保全するため、売主に代位して所有権保存登記手続をなすことができる。(大判大5・2・2民録22-74)

◎債権者が代位権の行使を許されるためには、債務者に対しその権利行使を催告し、債務者がこれに応じないことを要しない。(大判昭7・7・7民集11-1498)

◎債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法または結果の良否にかかわらず、債権者は、債権者代位権を行使することはできない。(最判昭28・12・14民集7-12-1386)

◎売主の土地所有権移転登記義務を共同相続した者のうちの甲がこの義務の履行を拒絶しているため、買主乙が同時履行の抗弁権により代金全額の弁済を拒絶している場合は、他の相続人は、自己の相続した代金債権保全のため、乙が無資力でなくとも、乙に代位して、甲に対して乙への所有権移転登記手続を請求しうる。(最判昭50・3・6民集29-3-203)

不動産登記法第59条第7号、第8号〔債権者代位権による登記〕

7民法第四百二十三条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
8第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの

判例要旨
◎ 未登記不動産の買主は、売主に代位して所有権保存登記の申請をなしうる。(大判大5・2・2民録22-74)
◎ 一筆の土地の一部につき処分禁止仮処分命令を得た者は、この命令正本を代位原因証書として、本条により分筆登記の申請ができる。(最判昭28・4・16民集7-4-321)
◎ 相続放棄をした債務者の債権者が、相続財産中の未登記不動産について右相続人も共同相続をしたものとして本条によって所有権保存登記をしても、この登記は実体に合わない無効のものである。(最判昭42・1・20民集21-1-16)