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司法書士協会だより 頭ではわかっているつもりなのですが…。

社団法人宮城県公共嘱託登記司法書士協会
塩釜支部長 菅 原 道 雄

 来年から始まるオンラインでの不動産登記申請の受付、住民基本台帳ネットワークによるサービスやIDカードの交付など、どんどん世の中が進んで便利になっていくのか、取り残されていくのか、ついていけなくて不安な気持ちで過ごしています。
 この中で認証と呼ばれるものには、大きく分けて個人の本人確認を目的とする個人認証と、文書の偽造や盗み見改ざんを防ぎ、作成についての真正を担保するための電子認証制度や暗号化技術という二つに分けられると思います。
 個人認証においては、携帯電話からキャッシュカードまでICカードに指紋センサーを内蔵されたものが開発され採用されつつあります。これらはバイオメトリックスといって、一人ひとりの人間が固有にもつ体や行動の特徴を使用した認証方法です。日経新聞によると指紋認証装置を使って偽造指での試験をしたところ、かなりの確率で偽造指を人間の指と認識することが判明しているそうです。偽造指は1000円くらいでできそうですし、本人が奥様に偽造指と指紋センサーつきのICカードを渡して、代わりにお金の払出しを頼むことすら考えられます。普通これらの指紋認証と暗証番号をセットするなど複数の方法でセキュリティを組むと思われますが、この場合、人間が相手であれば本人かどうかの識別は会えばすぐ判ります。この方法の弱点は、指紋のデータなどを盗まれると印鑑を作り変えるように簡単に自分の指紋を変えられないという事です。指はその人の体の一部ではありますが、指は指だけでその人をあらわすものではないですし、まして指紋のデータはデータでありその人の体の一部ですらありません。その人を識別する情報のひとつに過ぎません。このことを良く考えると、私たちの仕事の重要な部分である当事者の意思の確認作業において、当事者に実際に会ってお話をお聞きすることの重要性は変わらないものと思われます。印鑑と印鑑証明書に代わるもののひとつとして個人認証等を考えていけば、内容的には従来とそんなに変わるものでは無い事に気づきます。
 電子認証制度についても、インターネットのメールは、例えれば鉛筆書きの葉書を手渡しで何人かの人を経由して運んでいるようなものです。途中で他人に読まれたりコピーされたり何かを書き加えられたり消されたりする可能性があります。電子認証制度は、これを封書に入れて書留郵便で出すようなものだと考えれば、それほど理解しにくいものでは無いと思います。
 それでも不安な気持ちが消せないのは、これらに実体が無く触れるような事ができないのが一番の不安かもしれません。慣れるしかないのでしょうか?