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岩手協会登記測量研修会に参加して

理 事 武 藤 紘 資

 社団法人岩手県公共嘱託登記土地家屋調査士協会主催の登記測量研修会が10月7日岩手県盛岡市で開催されました。この研修会に参加せよ、との命は9月下旬に車で移動中に携帯電話によってのことでした。研修内容がよく分からぬまま委細はファクシミリでと返事をし事務所に戻ってみると、岩手協会からの研修会参加案内の文書が届いており、それによると研修内容は二つで、一つは『北上市に於ける公有財産境界確定協議の現状と将来』、もう一つは『測地成果2000と登記基準点整備事業』でした。宮城協会の参加者は私と田中総務部長の二名、他に一般参加として二、三名の社員が参加していました。
 研修会当日は10月半ばになろうとするのにやや蒸し暑いが、まずまずの良い天候でした。古川駅前の駐車場に車を預け「MAXやまびこ号」に乗り換えて盛岡駅に向かいました。盛岡駅に近づくにつれ岩手山が流麗な美しい姿を見せて迫ってきました。5分程遅い列車で到着の田中部長と合流し、会場である「メトロポリタンホテル盛岡・ニューウィング」に向かいました。
 会場は三百名ほど収容の広間で、盛岡地方法務局首席登記官はじめ、国・県・県下市町村等官公署職員及び他県調査士協会の役員・社員ならびに岩手県土地家屋調査士協会、調査士会の社員・会員等でほぼ満席でした。
 定刻に開講し型どおりのセレモニーの後、一つ目のテーマである『北上市に於ける公有財産境界確定協議の現状と将来』の講演が始まりました。講師は北上市の職員でした。
 内容は石巻市による我が宮城協会石巻支所への公共用地境界立会業務委託とほぼ同様でした。立会業務委託までの経過は石巻市の場合と同じで、平成12年5月に境界立会申請から立会日までの日数が長過ぎる事への岩手協会花北支所の改善の要望からでした。市では要望を受け改善策の検討に入り、立会担当職員の増員も含め種々検討した結果、同年11月立会業務の一部を調査士協会に委託する方針を決定し、同年12月先進地である石巻市を視察しています。北上市が立会業務を委託した背景には、業務委託と担当職員の増員との費用対効果を比較検討した結果と思われますが、花北支所による北上市への先進地石巻市の例示の提言が大きな要因ではないかと思います。(花北支所が平成11年6月石巻支所を研修視察しています。)
 業務の流れとしましては、「宮城公嘱NEWSvol.1」に松下理事が石巻市の例を詳しく載せており、基本的に同様なので割愛しますが、境界確定後提出する確定図に世界測地系と日本測地系のグリッドの併記を要求していたのが印象に残りました。
 業務委託後の効果として、次の三つを挙げていました。
  • 事務担当者の業務量軽減(法務局調査、現地事前調査、現地事後調査がなくなった)
  • 立会申請から立会日までの時間短縮(2週間→1週間)
  • 2人(申請者側と市側)の専門家の見地による立会の実現。
また、今後の課題としては次の二つを挙げていました。
  • 公共座標使用の拡大(調査士、測量士によっては、理解を得られない場合がある。(任意の座標または三斜による図面提出))
  • 座標データ(測量基準点)の交換(精度の高い基準点は地域の調査士、測量士で情報交換してほしい。)
 二つ目のテーマはこの研修会の主要なテーマとも云うべきもので『測地成果2000と登記基準点整備事業』です。この研修内容の概要はおおよそ次のとおりです。
 国土地理院は測地成果2000を今年4月から導入しました。それは今まで我々が使用してきた日本測地系は日本を17に分類する平面直角座標系により日本国内の位置を決める測量系でしたが、全地球的に見た場合誤差等色々不都合が生じてきたのと、明治時代に設置した基準点が地殻の歪み等によって誤差が大きくなってしまい、地球全体に適合した測量系とは云えなくなり、世界測地系への移行が検討されてきました。世界測地系は端的にいいますと地球上の位置を相対的に決めることが出来る、と言うことでしょうか。近年世界測地系に移行または移行しつつある国は50~60ケ国に達し、世界の標準となりつつあることからも導入は当然のことと思います。
 岩手協会は境界点の管理には境界点を10mm以内に正確に復元することが必要と考え、測地成果2000導入を期に既存三角点の座標を「変換ソフト」によって世界測地系に変換した場合、三角点の誤差に加え変換誤差が累積するので、電子基準点を元に精度の高い登記基準点網の整備を計画した。国土地理院は測地成果2000の導入に先立ち、電子基準点の整備を進め、現在全国に約1000点設置し、岩手県内には20~40km間隔に24点の電子基準点が設置されている。これらの電子基準点を元に10~20km間隔にGPS測量により岩手県内に1級・2級73点の登記基準点網を整備しました。
 登記基準点整備完了までの作業工程の詳細は省略しますが、社員所有の1級GPS受信機4~5セットを使用し、延べ総作業人数は771名、すべてボランティアとのことです。さらに今後の予定として5km毎に約300点の設置計画があるとのことです。 登記基準点のメリットとして次の項目を挙げていました。
  • 高精度の測量
  • 基準点の共有で測量コストの軽減。
  • 県内全域で境界点精度10mm程度の測量が可能。
  • 確定した境界点が亡失しても、10mm程度の精度で復元可能。
  • 境界紛争の未然防止。
 以上あまり詳しく説明できませんでしたが、研修会と言うよりは発表会、報告会という印象を強く持ちました。 岩手協会も思い切ったことをやるなー・・・、登記基準点は他の業界との差別化にもなり、業務拡大にも繋がるのでは・・等々考えながら帰路につきましたが、大変内容の濃い研修会でした。