地図(公図)と法定外公共物(里道・水路)
常務理事 伊 藤 博 雄
平成13年4月27日(金)「宮城県教育会館」(仙台市)2階フォレストホールにおいて、
「地図(公図)と法定外公共物(里道・水路)について」をメインテーマとし、講師には
大宮公証役場 公証人(元仙台法務局長) 藤原勇喜先生、ほか4名の先生をお招きして講演会が開催されました。
これは、「地方分権一括法」による法定外公共物譲与申請手続に欠くことのできない地図と法定外公共物について、
より一層の御理解をいただくため、市区町村の担当職員合計139名の方々においでいただき開催されたものです。
はじめに、当協会の小酒井敏継理事長から公務多忙のところおいでいただいたことに対して、また当協会設立以来15
年間に亘り各市町村から嘱託登記などの御用命をいただいていることに対して御礼が述べられ、「この講演会で習得された
ことを譲与申請に生かしていただければ、この上もない喜び。」との挨拶があり、つづいて宮城県土地家屋調査士会の
亀山一宏会長から、法定外公共物を日常取り扱っている皆様方に、会員が何かとお世話いただいていることに対して御礼が
述べられ、「調査士会では平成11年地方分権一括法施行後、直ちに法定外公共物譲与申請手続に関する特別委員会を組成して
情報収集及び研究を重ねてきた。ITの時代において地図に盛り込まれた情報をいかに国民に適確に提供していくかが、
今後我々に課せられた宿題である。今日の講演会での事柄がこれからの譲与手続に少しでも活用していただければ幸いです。」
とのご挨拶をいただき引き続き講演となりました。
貴協会には、地図行政の一貫としての地図整備作業をはじめとする登記行政を中心とした法務行政の充実と円滑な運営に
格別のご支援と御協力をいただきお礼申し上げます。
貴協会は、今後とも組織の充実をはかり公共嘱託手続の受託組織として益々その機能を発揮することによって、公共嘱託登記の
適正・迅速な処理に寄与し、ひいては公共事業の円滑な遂行と地域住民の不動産に係る法的安定に寄与されることをご期待
申し上げます。
登記をめぐる重要な課題
(1) 登記事務の情報化について
| (イ) | コンピュータ庁(H13.4.1現在) |
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| (ロ) | 登記情報システム…H12.9.29~全国26庁で開始…管内、本局を含む5庁が開始されている。本年8月頃までは古川支局、岩出山・涌谷出張所を除く全庁で開始される。 |
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| ※ | 高度情報化社会のなかでの登記所の地図行政は、地図に熟知している公嘱土地家屋調査士協会の皆さんの協力なくしてはなし得ないもの。 |
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| ※ | 5月9日川崎出張所を大河原支局に統合。今後、白石・角田出張所を統合予定。 |
| ※ | 岩出山・涌谷・中新田出張所を古川支局に統合予定。 |
法定外公共物譲与申請に関するもの
- 地図調査について…前提として法務局備付けの地図の複写や閲覧など確認を要するとしている市町村が54市町村あり、それが集中して登記事務処理の混乱をきたさないよう時期の調整や複写機の持ち込みについて綿密な打合わせを願いたい。
- 譲与後における登記の必要性について…市町村で必要があるとされる時点で行えばよいとされている。
- 法定外公共物譲与に伴う訴訟の取扱い…譲与を受けた後は財産権が市町村に帰属する。譲与前から訴訟が継続しているものについても原告の同意があるもの、あるいは譲与後に訴訟が提起されたものは市町村が訴訟当事者となり、当該市町村の訴訟代理人が訴訟事務を行う。尚、財産譲与を受けた市町村から国の利害に関係ある訴訟についての法務大臣権限法第7条第1項に基づく実施請求があり、かつ同法3項の必要があると認めるときは法務省の職員が訴訟事務を行うことができるということになっている。
「地図(公図)と法定外公共物(里道・水路)について」
1,公図の現状
| ・ | 法務局備付のもの…全国で570万枚…そのうち公図が220万枚、地籍図350万枚。 |
| ※ | 市街地、準市街地のほとんどについて地籍図が作られていない。 |
| … | 宮城県内…14万枚…そのうち公図が2万枚、地籍図10万枚、その他2万枚。 |
| … | 東北6県…91万枚…そのうち地籍図が60万枚(66%)。 |
- 明治5年、私的所有を認め、土地の売買等を認めた。
- 明治6年から地籍(面積)調査…所有者を確定し、筆界を確定した。…地券台帳。
| ※ | 当時の地籍調査…精度も低く、測量技術も未熟なもの。…できるだけ少な目に測った。…縄延び。 |
- 明治18年~20年、脱落地、重複地があり問題も多かったので、地押調査をしてあらたに図面を作り直した。(更正図)…国税を徴収するために作っているので非常に価値が高いものである。
- 耕地(田・畑)宅地は綿密に作られているところが多くあるが、税金徴収のうえで価値の低い山林、里道・水路は厳密に作成されなかった。
- 明治22年土地台帳制度。…台帳附属地図。…所有者に対して地券発行。
- 土地台帳・附属地図は昭和22年まで税務署で所管していたが、地租が固定資産税に変った時に法務局に移管された。そして、権利の客体である土地を明確にするための地図、地籍のための地図として性質が変った。
- 昭和35年から登記簿と台帳の一元化が開始された。…台帳に記載されている事項を登記簿の表題部に移記。…権利とその客体の不動産が一体として公示されることになった。
- 平成6年、これまで法的根拠がなかった附属地図を17条地図に準ずる図面として法定化した。
- 位置的なものはかなり参考になるが、距離・角度・面積については不十分。
- 公図は明治初年に創設した筆界を図示している。
(1)筆界の意義
- 筆界…国が定めた土地と土地との境界をいう。
- 所有権界…所有権のおよぶ範囲をお互いの話し合いで合意した境界をいう。
- 筆界の認定…筆界を公図によって発見する。…(本来の筆界はここでしたね。ハイそうです。そこです。)
- 公図と現地の形状が一致しない場合は、原則的に公図の形状をもって筆界を復元するのが通例である。
- 河川に接する土地で、その侵蝕を受けて高水位時における流水面に至ったときは、公図の形状によらないで現況によって筆界を認定するのが通例である。
(1)分筆登記…分割線の書き入れ。
(2)地図管理システム…公図をデジタイザーで読み取り数値化している。全国100庁。
(3)公図と地籍調査…昭和26年国土調査法。…公図を基本にして調査。
※ 明治初年に創設された筆界の再確認(発見)が地籍調査である。
※ 公図よりも正確に表しているのが地籍図である…そのうちの精度の良いものを17条地図として指定。
(4)公図と境界確定訴訟…裁判であらたな筆界を創設。…ズーッと一生シコリが残るのであまり利用されていない。
| ※ | 裁判外の行政委員会方式で筆界を認定する機関を作る準備中である。そこで認定されたものに不服な場合は、境界確定訴訟となっていく。 |
| ※ | 境界確定訴訟…公図に基づいて行う。ドイツでは、公図と現地が違う場合はその中間をとっても良いとする規定がある。裁判所は、大変だから 筆界を認定しないという訳にはいかない。裁判所も音を上げている。 |
- 公証資料に基づいてやっている限り筆界と見て良い実態となっている。その実体は所有権界の合意契約である。
(1)意義…明治6年~7年に官有地と民有地の区分。官有地を4種に区分けした
(2)種類…官有地の第3種に里道・水路がある…無番地で公図に着色。
(3)管理…必ずしも十分な実態でなかった。
(4)時効
(5)問題点
7,今後の課題
譲与後の財産管理のうえで表示・分筆などの登記を予定しておくことも必要。したがって、自治体で保管している図面だけではできないこともあると思われる。
今後において土地の表示に関する登記の必要がでてくることも考えると、法務局備付けの地図を中心ということで考えていかないと困ることも出てくると思われる。
| ※ | 今回の作業は、公図を読むという技術力が必要である。土地家屋調査士は毎日公図を読んで復元作業をしているので実績がある。 この作業は専門家集団の公嘱土地家屋調査士協会を利用することも良いと思われる。 |
○ 財務省の事務処理について
1,地方分権の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について
第1条
第110条
第113条
2,国の庁舎敷地等の区域内にある法定外公共物の処理について
平成12年3月28日蔵理第1177号 大蔵省理財局長通達
- 譲与対象から除外する財産の範囲
- 特別措置法の譲与要件を満たさないもの
- 特別措置法による譲与の対象となるもの
- 建設省所管の公共用財産である里道、水路。
- 現に公共の用に供されている国有財産。
- 譲与の対象とならないもの
- 建設省以外の所管に属する里道、水路。
- 建設省所管であっても現に公共の用に供されていない(機能を喪失している)里道、水路。
- 特別措置法による譲与の対象となるもの
- 行政目的に供しているため譲与しないもの
国の庁舎敷地、宿舎敷地(借上げ地を含む。)等として、国の行政目的の用に供されている土地(以下「庁舎敷地等」という)の区域内にある里道、水路。- 他省庁に対し所管換を前提として使用承認を行っている特別会計所属普通財産の区域内にある里道、水路で行政財産に準じて取り扱うことが適当であるもの。ただし、譲与したとしても適切な庁舎敷地等の管理を行い得るとの判断がある場合においては、譲与の対象とすることを妨げない。
- 特別措置法の譲与要件を満たさないもの
- 譲与対象から除外するに当たって留意すべき事項
- 里道、水路の現況把握…各省各庁。
- 他省庁との調整…各省各庁。
- 市町村との連絡調整…各省各庁。…国側の一方的な事情により市町村の譲与手続きを遅延させることのないよう留意する。
- 財務局に対する除外通知…各省各庁部局長。
- 管理責任…除外した里道、水路…各省各庁。
- 法定外公共物の譲与に係る普通財産の取扱いについて
平成12年1月18日蔵理第170号 大蔵省理財局長通達- 普通財産内に介在する機能を有している里道、水路の取扱い
- 機能を有している里道、水路と同様の用に供されている国有財産台帳に登録済の普通財産の取扱い
- 処理方針
- 現状が機能を有している里道、水路と同様の用に供されている普財通産については、公共の用に供しているものとして建設省へ所管換の上、特別措置法による譲与の対象とする。
- 国有財産法第22条第1項第1号の規定に基づき市町村長に無償貸付している用排水路、ため池のうち、公共物より編入及び新規登載により取得した財産で、かつ、取得時において既に用排水路、ため池として公共の用に供されていたものについては、無償貸付契約を終了の上、建設省に所管換し、特別措置法による譲与の対象とする。
- 事務手続
- 農林水産省及び建設省との調整…財務局長
- 市町村長との調整…財務局長
- 建設省への所管換…財務局長
※ 所管換の数量、価格は国有財産台帳記載のもの(財産の一部を所管換する場合は公図求積を可とする)とし、公図等の特定図面の提出は要しない。 (注)財産の受渡日は譲渡契約の締結日とする。
- 市町村長への通知…財務局長等
※ 財産の一部を譲与する場合は、当該市町村において譲与後速やかに境界確定の協議を実施し、譲与財産の特定を行うよう求めることとする。
- 機能を有している里道、水路と同様の用に供されている国有財産台帳に未登録の普通財産の取扱い
- 処理方針
国有財産台帳に登録されていない国有畦畔及び脱落地のうち、現状が機能を有している里道、水路と同様の用に供されている財産については、建設省所管の公共用財産であるので、機能を有している里道、水路と同様に、市町村において管轄区域内に存するものを速やかに特定した上で、譲与申請を行うものとする。
※ 公図上の白地、黄色地、緑地、灰色地、茶色地等のうち地形狭長な公共物と認められるもの(法定外公共物に付随したもの)が譲与対象となる。
- 処理方針
- 用途廃止済み及び売払い済み等の未登記財産
- たくさん抱えているが、それをどうするかまだ詰めていないのが実態で遅れている。
- 譲与期間後の管理…用途廃止引継ぎ
- 平成17年3月31日後は一括用途廃止し、財務省が引継ぐことになっているがまだ整備できていない。引継がれてくるのは不用物件だけと思っている。財務省も今まで以上に背負い込むことになります。
○ 県の事務処理について
法定外公共物はこれまでは、財産管理、機能管理、とふたつの形態をとっていた。
法定外公共物の管理は国有財産法の適用がなされるが、同法には機能管理に着目した規定はまったくなく存在していなかった。また、国有財産の売払い収入は国に帰属することや、市町村の法律上の管理責任が不明確のままで維持管理を行うことを余儀なくされてきた。
維持管理の経費負担をしたり国家賠償を問われたりというような種々の問題が生じていた。上記問題を解決すべく平成9年10月9日付け地方分権推進委員会の第4次勧告がなされた。
○ メリット
- 財産管理、機能管理上の問題点の解消がはかれる。
- 市町村が権原を取得することによって、里道、水路の管理権限の所在が明確になり、積極的に地域住民の要請に応えながら適切に維持管理していくことが可能となる。
- 市町村のみの判断で、里道、水路の付け替えが出来る。
- 里道、水路を含んだ面的整備を行う場合、交換、用途廃止などの手続が不要となる。
- 譲与を受けた後、何等かの事由により用途廃止をした場合に、国から返還を求められることはないし、それを第三者に売り渡した場合の対価は市町村の収入になる。
○ 譲与手続期間…平成12年4月1日~平成17年3月31日まで
| ※ | 手続がなかった法定外公共物は、平成17年3月31日をもって一括に用途廃止され国が直接管理する。 ガイドラインに、「やむを得ない事情により当該期限までに特定作業がしきれなかったものが生じた場合には別途措置を講じる予定である。」とは、例えば地図混乱地域、公図の空白地などで特定作業が困難なものが該当する主旨であって、期間を延長するものではない。 |
○ 交付金について
- 平成12年度は市町村の基準財政需要額、一般行政共通費の項目に算入されている。
- ガイドラインに示した方向による事業を行う場合の所要額について、市町村の実績等を調査の上適切な額が算入されるよう考慮されることになっている。
- 国が実績を把握するには、県の実施計画書策定の報告実態調査により把握される。 県の実施計画書策定は市町村の作業計画案によって策定されるので、まだの市町村は早急に作業計画案を作成されることが望まれる。
- 市町村の判断が最大に尊重される。
- 必ずしも現況調査をするものではない。航空写真等で確認できるものはそれで良いし、それらの資料で確認できない場合のみ現地調査の上判断すれば良い。
- 里道、水路が付け替えられているが公図の手当てが未了という場合も、譲与の対象となる。譲与後市町村でその解消をはかる。
- 現地において、機能喪失しているものでも、将来において機能回復する計画がある等の判断されるものは譲与の対象となる。
- 道路整備計画の予定区域にあるものも対象となる。
| ※ | いずれ、どのようにして判断をしたかを整理しておくことが必要。 |
○ 使用図面について
- 法務局備付けの図面と整合性があれば、市町村保管の固定資産等の図面を使用して良い。地籍集成図でも良い。
- サイズはA4の図袋に入れてもらえば良い。
- コピー機等の電気料は、法務局が負担することで了解済みです。
- 各支局、出張所のスペースが限られていて、一般客への影響もあると思われるので事前打合わせが必要。
- 特定図面の着色方法は、国有財産の含まれる幅員全体について行う。前提として市町村において、旧公図、地籍調査素図等の調査を行い、長狭物内にどのような種類の財産が含まれているかを把握することが必要。
- 今回の申請に当たり、土木事務所で内容を確認しますので、「特定図面」、「国有財産一覧表」を事前に提出してください。
| ※ | 今回の譲与申請は市町村が主役です。事務・作業が負担になると思われますが、 将来性を考えると有意義な制度であると思います。現時点で4年を切っている状態であり、申請が最終年度に 集中するということになると期限内の処理に支障をきたす恐れがあります。市町村方での計画案策定を早急に 行うようお願いします。 |
弘前支所長 小 林 昭 雄 先生
以上、講演会の内容を報告いたします。
当協会としても、各市区町村においての譲与申請が円滑に遂行されますよう心から願うものであります。