法第17条地図作製業務報告
不動産登記法第17条地図作製業務連絡調整班
班長 鈴木 修
平成16年度仙台法務局より受注した法17条地図作製業務は、本年3月10日に無事納品を済ませました。
本年度の地図作製作業地区は仙台市太白区上野山地区で、その筆数は1,545筆、関係地権者が1,405人、地積が0.56k㎡という大量の作業であり、笊川や崖地等の測量困難な地形もありましたが、社員間の協力の下、大変素晴らしい地図ができあがりました。
一年間という長い作業期間で、作業量も多く、居所不明地主や最後まで同意が頂けない地権者の存在などの苦労の中、法務局との連絡協力も大変うまくいき、昨年のひより台地区から作業を継続してくれている会員と今回参加した会員との連携も素晴らしく、「筆界未定無し」という本当に立派な成果になりました。
これには、陰になり日向になりバックアップしてくれた土地家屋調査士会員の努力によることは当然として、昨年度作業の基礎を作ってくれた法第17条地図作製実行委員会の努力と、各町内会会長のご理解と、関係官庁の担当者の皆さんの対応と、仙台法務局の狩野総括表示登記専門官はじめ小俣表示登記専門官、進藤表示登記専門官のご活躍のお陰であることに大変感謝しております。
本当に多くの方々に支えられ作業が完了したことを考え、やはり大きな仕事はマンパワーと連携が重要だと実感しております。
どんな仕事にも言えることですが、関係者間で十分な話し合いの時間を持つことが、最終的には短時間で良い成果ができあがる重要な要因だったと改めて実感しております。
この業務の担当調査士のご苦労と達成感を含めた奮闘ぶりは、各人の報告にお願いしましょう。
地図作成作業を振り返って
自然豊かと聞くと長閑な印象を受けますが、実際の作業においては困難が付きまといます。機器の運搬や伐採作業など、時間と体力を要する箇所が多く、山中で昼食を食べたこともありました。雨降る中、田畑の境界を確認して頂いたり、山中、道無き道を歩いて境界を確認して頂くなど、地権者の皆様にもご負担をおかけいたしました。また別な面では、川の流れが昔と変わっていて、頭を悩ませたこともありました。
そんな中での憩いの場所は区域内を流れる笊川です。ホタルも舞うというこの川は木々の間を縫うように蛇行しており、川幅も狭く、平時は浅瀬を長靴で歩いて渡れるほどの小さい川です。木漏れ日の中、水の流れを聞きながら探索していると、マイナスイオンを全身に浴びて癒されること間違いなし(?)です。
特に印象に残っているのは、この笊川を調査中に、ニホンカモシカに遭遇したことです。私が杜の主だと言わんばかりに堂々と立っていました。川の西側を見上げると、木立の奥、岸の上に道路があり住宅が並んでいます。東側は見渡す限り山林です。住宅地と自然が隣接するこの地域ですので、杜の主も山林と宅地の境界に関心があったのかどうかは分かりませんが、あっという間に姿を消していました。
最後になりましたが、地権者の皆様をはじめとして、ご協力いただきました関係官庁担当者ならびに協会関係者の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
そして、作業担当者の皆様、一年間お疲れ様でした。
筆界未定地ゼロを達成
お蔭様で年は越したものの、狩野要祐総括表示登記専門官、小俣久表示登記専門官、進藤公孝表示登記専門官3氏の粘り強い努力と一筆地調査測量班全員の休日・昼夜を問わずの協力により、平成17年1月5日 午前10時10分、問題のあった現地立会において遂に筆界未定地ゼロを達成しました。
小泉流で言えば“感動した!! ”ですが、その場では大きな声で喜びを表すことも出来ず、心の中で万歳と叫びました。登記官も同じ思いであることが目を見て判りました。
これまでの事を思えば、この結果は全く想定外のことでした。この規模での筆界未定地ゼロは全国的にも稀な特筆すべき結果であり、大いに自慢して良いものと思っております。
昨年の4月、突然の呼び出しで始まったこの作業は十数回の打合せ、協議を行い、5月22日、同23日の地区住民説明会ののち、本格的にスタートしました。
市道・公園等の公共物立会いを先行して行い、その後我々一筆地調査測量班のメインイベントである現地土地境界立会いを法務局2名、調査士側3名の1班5名を基本として、連日天候不問で行いました。
日常業務と違うところと言えば、立会者と筆数が多いことと、連日立会いがある位のもので、普段の仕事とさほど変りありません。最初は多少の不安と緊張感がありましたが、始まってみれば何の事はなくすぐに慣れて楽勝気分でした。ところが、3日目の6月9日午後の立会いで、その後7ヵ月も費やすこととなる事件が起きたのです。
以前から紛争があったようで、この機会とばかりいままでの怨念を晴らすかのように双方で大口論となり、遂には興奮した一人がコンクリート塊を振りかざし、相手方に突進したのです。威嚇が目的だったのかも知れませんが、慌てて登記官が仲に入りその場を収めましたが、もちろん当日は不調でした。
この地区については、立会いの全日程を終了した後、当事者との数十回の協議、数回の現地立会いを行い、双方からの意見も聞き、筆界未定についての説明を行いました。 協議成立かと思えば、その翌日には前言取消しの繰返しで、縦覧期間の11月24日~11月30日を過ぎても決らず、登記官も 「残念だが筆界未定もやむを得ないだろう」と話しておりました。
現地事務所は12月13日に閉所し、諦めかけていた翌年1月4日、新年の挨拶に伺った折に、小俣表示登記専門官から 「明日立会いできますか?」と言われ、最後の立会いと思い即答で了解し、翌5日午前10時に関係者全員が現地に集合しました。
結果は驚くほどあっけないもので、10分も経たずに確定してしまいました。年末年始に当事者間で話し合っていたとのことでした。
調書に署名を頂き、これまでの努力が無駄ではなかったことを改めて実感しました。当然その夜は杜の茶屋です。
最後にこの作業は基準測量、一筆地立会、測量、まとめ等全てを含め、あらゆる知恵を絞り、連絡と段取りとを効率よく行っていかなければなりませんが、全員が一致協力して作業を行えば決して不可能なことではありません。皆さん本当にご苦労様でした。
土地境界立会いの重要性
日常業務の延長とはいえ、長期間の筆界確認作業は想像以上の困難でした。
担当した区域は開発道路、位置指定道路、狭隘道路等が多く道路幅員に気を配りながら作業を進めました。
測量図に幅員4メートルと記載されているが、現況はブロック塀等で2cm足りず再立会いが数箇所あった。事情を説明して道路幅員は確保できたが、なかには、境界立会いに協力してもらえず、法務局からのお知らせにも目を通さない、住民説明会にも参加しない人もいたことから苦慮したが最後は理解していただいた。
少数ではあるが、信用出来ないと言われ筆界確認に苦労した。反対に協力を頂いた住民の方も多く励みにもなった。
筆界確認作業は、事前調査が大切で測量図等を参考にしながら現地に入ったが、なかには公にされていない確定測量図(土地家屋調査士作成)を出され、この図面で買い受けたのでこの通りでないと承認しないと言われ戸惑った。
われわれは、筆界を確認し地番と地番の界を測量するのであって、所有者及び隣接者の考えに惑わされない筆界確認作業の重要性を再認識させられた。
今後は、地図作成業務の経験を日常業務に生かして境界紛争、予防に貢献したい。
一筆地調査測量D班 竹中喜一郎
昨年に引き続き、今年も17条地図作製に参加させて頂きました。作業の手順等は昨年の経験から、今年は比較的楽に進められると思いましたが、今年は測量範囲が広く、山あり沼ありで日数的にも立会い・測量の業務は去年の倍近くかかりました。立会い当初から、境界杭が亡失している箇所が多数で確定図に境界杭の表示がありながら埋設していなかったりで、復元測量で境界点を探し再立会いするという繰り返しでした。市道幅員についても、立会い一筆測量調査後、4.00m未満の箇所についても再度所有者の了承を得、幅員確保にと昨年とは違った作業で9月下旬の工期に間に合うのか補助者共々不安にかられていましたが、幸い天候にも恵まれ、全体測量は予定通り完了しました。
筆界未定0の結果につきましては、法務局狩野総括登記官・小俣・進藤両表専の粘り強い所有者への説得、職員の方々を初めサポ-ト隊・補助者、みんなで350円の同じ釜の飯を食べ、同じ目的に向かって一丸となった結果だと思います。事前調査も完璧であり小澤支所長初め役員の方々の温かい指導にも感謝でした。この2年間大変貴重な経験をさせて頂き有難う御座いました。
基準点測量とは・・・
ひより台の経験を基に上野山地区では道路台帳の3級点は使用せず、新たな3級点より4級点を設置することにしました。このまま行っていれば今回はパ-フェクトのはずだったのですが、ここで悪い癖が出てきました。
非常に「新し物好き」で、何か始めるときは、まず「道具」から入ると言う癖です。
今回は法務局の新品のGPSを貸していただいたこと、それが小エリア無線配信によるRTK(直接法)を備えていたこと、群馬では4級点総てをRTKにより設置したこと、RTKとTSが併用できること等の条件により悪い癖が出てしまったのです。上野山の4級基準点測量はRTKとTSの併用しかないと決め付けてしまったのでした。
2級・3級はスタティック法により観測し結果も満足できるもので、この勢いでRTK観測に突入したのですが、基地局からの無線情報が入りにくい、子機がなかなかFIXしない、基地局を移動している間に衛星が変わってしまう等の問題が発生し、思うように観測できませんでした。それから試行錯誤を繰り返し出た結論は、DOPで3.0以下衛星数6個以上の条件が必要だと言うことです。この条件を満たすのは1日のうち長くて3時間から4時間くらいしかありません。それに同じ衛星状態のときに基地局を移動して往復観測できるとしたら、1日2路線が限界になります。(1路線当たり既知点新点合計10点前後)
結果はTS観測の4倍の時間を要し、その後の再測を含めるとかなりの時間がかかりました。時間がかかった割には、TSによる厳密網平均計算の結果には当然及ばず、1箇所10秒で観測できると言う便利さの裏に隠された不便さを痛感することになりました。
2級・3級はGPSによるスタティック測量、4級はTSによる観測と厳密網の組み合わせがベストであり、その後の1筆測量のために基準点を設置するのだと言うこと、すなわち点間誤差20mで10mmという制限があることを忘れてはならないのです。
猛烈反省していながら「準天頂衛星」が上がったらとか、「ネットワ-ク型RTK」だったらとか考えている自分がとっても悲しい、今日この頃でした。
地図作製作業に協力していただいた方たちに感謝すると共に、後世に残る事業に参加できたことを誇りに思います。