編集後記
広報部長 柴田健治
人は、突如としてものの考え方が変わったりするものである。価値観の変化とでもいうのであろうか、日頃目障りな蠅や蚊でさえ愛おしく思えてならない。
2004年度のNHKスペシャル「地球大進化」という番組をみて、己の小ささと生命の偉大さを思い知らされた。
地球が誕生して46億年のなかで私たち人類がどのように進化してきたかを年6回位に分けて放送したのであるが、46億年前の地球の誕生を1月1日として現在を12月31日の深夜12時と置き換えた場合、私たち人類であるホモサピエンスがこの世に表れたのはなんと12月31日の深夜11時37分、紅白歌合戦も終わりになる頃である。
番組のナビゲーター役をつとめる、俳優の山崎努が、自分の年齢67年間を計算したところ僅か0.5秒にしかならず、大変落胆していたのが印象に残っている。
地球からみた人類なんて本当に新参者で、まばたきする程度のはかなさなのだ。
地球誕生から現在までの46億年のあいだ、私たちがお世話になっている地球という星は、実は小惑星の衝突や何千万年にもおよぶ大氷河期、ユーラシア大陸の半分程を占める大噴火と幾度も生物を根絶やしにするほどの大災害をもたらしていた荒ぶる惑星だったそうな。
私たちを優しく包んでくれる母なる大地のイメージからはかなりかけ離れている。
46億年の間には生物の90パーセントが滅んだことも何度かあったようで、特に恐竜の時代なんかも生き延びたということは、さぞや私たちの祖先は勇猛だったのかと思いきや、なんと魚の時代では枯れ葉の落ちる汚い浅瀬で静かに暮らし、恐竜の時代では鼠のような姿で逃げ回り挙句は木の上生活、現在のように表舞台に立ったのは前述の12月31日の深夜11時37分から。
今、私たち人類は地球上で我者顔のように、振る舞っているが実際、過去のような巨大隕石落下や大氷河期が来襲した場合、生き残れるのだろうか。
おそらく無理であろう。
1億年後の地球生物を特集している番組をみたが、そこには人類の姿はどこにも見当たらなかった。
世の中にはなんとかなることと、なんともならんことの2つがあるように思う。 先日の新潟県で起きた大地震なんかは人間の無力さをまざまざと見せつけられた気がする。
私たち人類は地球にとって、何ら特別なものではなく蠅や蚊と同じ生命体の一つなんだとあらためて思い知らされた。
蠅や蚊を叩く時に、お前たちも46億年進化して、いまここに居るのか、と思うと小林一茶ではないが、なんとなく心が和むのである。