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石巻市の道・水路等の立会業務を受託して

石巻支所 業務推進委員 松 下 隆 好

 石巻支所が本業務を受託したのは平成8年4月1日からである。当時の記憶をたぐりながら本業務の全容を紹介する。

1,実施直前の状況
 石巻地方でも景気が低迷して久しいが、バブルの煽りを受け地価が高騰したことにより、土地所有者の権利意識が高まり、 土地境界に関する種々の問題が複雑・高度化していった。石巻市における立会申請受理件数は、平成7年で約300件に及んでいる。市職員が毎日1件づつ処理しても3分の1は未済となる勘定である。 そんなことから申請日から立会日まで2か月近くも待たなけばならない状況であった。
 当然のことながら、いつでも構わない立会申請などあるはずもなく、地元新聞には立 会について市民から不満の投書が寄せられ、調査士も依頼者からの矢のような催促に汗だくの言い訳を強いられいた。
 当時の石巻市の立会業務は、建設部 道路課 管理第2係の係長以下3名で処理する体制であったが、日中は毎日現地立会に出かけ、帰るとすぐに次の立会に向け、 過去の立会経過資料の検索・複写作業に追われ、その日の復命書(報告書)作成は残業に頼らざるを得ず、はた目に見ても職員不足は明らかであった。

2,委託業務立上げに向けて
 石巻支所としてもこのような状況を坐視できないとして、口頭や文書により立会業務の迅速化を繰り返し要望していた。石巻市としても担当職員を増強することは、 職員削減の流れに逆行することになり実現は極めて難しい、そこで次善の策として立会業務の一部を公嘱協会に委託する案が浮上してきたのである。
 石巻市はこのことにより
 1)業務処理能力が格段に高まり、処理日数が大幅に短縮でき、市民の要望に応えることができる。
 2)協会社員は土地境界確定業務に精通していて、調査士の職能を行政に生かすことは財産管理の適正化の上からも効果的である。
 3)担当職員を増強しなくても対応が可能。
  と判断したのである。
苦肉の一計とは言いながら新たに予算の手当が必要である。 当時の道路課長以下、関係職員の勇断であったと察する。失礼ながら公職に奉職する身にあって、かつて例のない新しい機構を生み出すため一歩を踏み出すことは、いかに多くのエネルギーと苦労を必要としたか、私でさえ容易に察することができ、頭の下がる思いである。
 ここに至るまで支所長以下幾人かの役員は、石巻市との事前協議に同席したであろうが私のような平社員にとっては正に〔青天の霹靂〕であった。
 石巻市から〔受託可能であれば、早速平成8年4月1日から実施したい〕との意向を受け平成7年12月13日第1回全体会議が開かれた。会議の席上支所長より提案説明があり、社員の意見を求めたところ積極意見は少数で、責任の重さを感じてか慎重論もあり、 ほとんど石巻市に立会申請を出すこともない社員を中心に反対意見も多かった。
 石巻支所は1市9町を管轄していることもあり、他町に事務所を置く社員にしてみれば、石巻市の立会の遅れはさほど不都合でもない。主に市内の調査士から申請される立会を、 自らの業務の手を置いて、遠方より担当調査士として立会業務を行うことに、少なからず抵抗を感じることは理解できた。
 私自身も隣町に事務所を持っている身である。結局、結論は次回に持ち越しとなった。
 年が改まって石巻市より、この事業の円滑な実施を図るため、地元測量業者にも理解してもらう必要があるので説明はしておいたが、協会からも直接理解を得ていた方がよいのではとの助言もあり、平成8年1月22日地元測量協会会員と懇談の場を設けた。 更に、2月28日石巻市と支所社員との協議会を開き、市より直接社員に向けて内容の説明があった。その時の私の印象は、説明というより非常に熱のこもった説得であったように記憶している。
 次年度の予算計上の都合もあり、2月末までに回答してほしいという市側の求めを何とか延長していただき、支所としての最終結論を出すべく、3月9日再度全体会議を開いた。相変わらずの根強い反対意見の中で、この提案が風前の灯火となり消えかけた場面もあった。
 しかし、道路課長や担当職員が、やっとここまで立ち上げてくれた熱意もさることながら、今までは民間の代理人としての域を出られなかった調査士が、行政の一端を担うことにより、調査士の底力を官公署に認めてもらう好機ではないか、大変とは思うが全国でも例のない この提案を思い切って受託してみようではないか、という積極意見に押されるように、受託する方向で意見の一致をみたのである。
 3月27日石巻市と支所社員との最終的な全体会議を経て、3月30日支所社員による具体的な業務の説明会を行い、4月1日からの実施に向け ての準備はともかく終了し、難産の子は暗中模索の船出となった。
 この間石巻市には、「公共物の立会について」のパンフレットを作成し、行政区を通じ配布し広く市民に周知されるよう呼び掛けると同時に、立会い時にパンフレットを携行し関係立会人に手渡しながら、 公嘱協会への理解を深めるよう配慮していただいた。

3,立会い業務の概要
 境界の立会いは、「石巻市建設部道路課所管土地境界の確定に関する事務取扱方針」に 基づき行っている。
 一般的な立会い業務の状況を手順に沿って述べる。
 Ⅰ.申請書の提出
 担当部署には次のような立会い業務が持ちこまれる。
  1)一般的な立会申請
  2)路線的な立会申請
  3)国土調査に伴う立会申請
  4)道路課所管に係る立会申請
 市担当者はこれらの申請書に受理印・受付番号を付し、内容を審査の上過年度立会経過を検索し、その複写を添付して石巻支所に送付する。
 Ⅱ.石巻支所の業務処理体制
 石巻支所の処理体制(平成12年現在)は、社員のうち18名を5班に分け、各班に班長を置く。配分は原則として1班から順に、班内は班毎にそれぞれ順番を決めている。  不都合がありその社員が受託できないときは、班内で調整することにしている。
 さて、石巻市から送付された申請書は、支所長(または事務員)は受付帳に記録し該当班の班長に連絡する。
 連絡を受けた班長は、自班の担当社員(担当調査士)に連絡する。
 担当調査士は速やかに支所長より申請書を受領し、市職員に自分が担当となったことを伝え、直近の立会可能日を確認する。次に申請代理人(調査士・測量会社など)に自分が担当者であることと、直近の立会可能日を伝え、関係立会者と調整の上希望する立会日時を申出てもらうこととする。
  この間に、申請書及び添付図書を精査し、資料の不備や事前調査の不足が認められたときは、申請代理人に連絡し速やかに追補を求める。それでも疑問が残るときは、事前に現地に行くなどして充分状況を把握する。
 重大な問題や事前調整を必要と認めたときは、市職員と協議の上申請代理人に市役所にきてもらい、市職員を含めて事前協議をして現地立会に臨むこととし、漫然と立会日を迎えることのないよう心掛ている。これはとても大切なことで、担当調査士の根拠のない不用意な一言で、境界が確定してしまい後日に禍根を残す恐れがあるからである。
 Ⅲ.現地立会い
 現地立会は、申請代理人(関係立会者を含む)と担当調査士単独で行えるケースを除いては、原則として担当調査士と市職員の二人一組で行っている。
 担当調査士の服装は、制帽(黒)、ネーム入りの作業服(水色)、腕章を着用し、石巻市発行の身分証明書を携行している。支所が作成した「業務処理上の心得」には担当社員は、この業務を遂行しているときは準公務員であるとの自覚のもと、調査士としての品格を保持して業務に当たるよう唱われている。

 立会業務の詳細については今更この紙面を割く必要はないが、いつも留意していることは、申請代理人本人がきているか、関係立会人は適格者か、欠席者はいないかを確認しながら立会者署名簿に署名を求めてから立会を開始している。次に担当調査士として事前に組み立ててきた結果と、どう一致しなぜ一致しないかを精査しながら申請代理人の説明や立会者の証言に耳を傾けることである。ここが専門家同志の火花を散らすところであり、顔見知りの調査士であっても、安易な妥協はできないところである。ここをないがしろにすると、復命書を作成するときになって、一人で悩みを背負い込むことになるからである。
 境界標は、石巻市ではコンクリート杭・プラスチック杭(赤)・アルミプレート・丸形明示板(黄)をそれぞれ備えていて、全てに市名と識別番号の刻印がある。確定した境界にはこれらの標を設置することとしている。原則として埋標は担当調査士がすることになっているが、設置の時期・手順・方法などにおいて申請代理人それぞれに都合があるため、実務上は、申請代理人に理解を得てお願いしているところである。
Ⅳ.境界立会復命書の作成
 担当調査士は、申請代理人の埋標完了の連絡を受け、現地において境界標設置を確認の上、境界立会復命書の作成に入る。復命書という名称は調査士には馴染みの薄いものであり、私もはじめは何のことやら判らなかったのであるが、要するに報告書のことである。
 復命書は表紙・概要・境界標埋設報告書の3種に分かれているが、担当調査士がいつも頭を悩ますのが概要である。これは特に定型用紙がないため、白紙の上に現地で得た情報を要領よくまとめ、関係地権者の証言なども盛込みながら、結論としてこのような理由から妥当な境界と認め、関係地権者と協議が整い、境界確認位置に境界標を設置したことを表記し結びとするものであり、ちょっとした境界鑑定書といっても過言ではない。この復命書を作成するたびに、学生時代に作文の勉強をもっとまじめにしていれば良かったと、社員のだれもが口を揃えてため息をついているのである。
Ⅴ.復命書の提出
 七転八倒の未書き上げた復命書は、申請図書一式とともに班長に提出する。
 班長は全てに目を通し、疑義がなければ検印を押し副支所長に提出する。副支所長は同様に検印を押し支所長に提出する。この間に不備や疑義が認められれば、情け容赦なく担当調査士に電話が入ることになる。申請代理人は立会日以降3か月以内に境界確定図を石巻市に提出する。市職員は提出された境界確定図を審査し支所長に送付する。
 支所長は送付された境界確定図と復命書の内容とを最終審査し、検印を押して石巻市に提出する。
 この後原則として市職員と担当調査士とで、現地検測と履行確認を行うこととなっているが、実務上は申請代理人から石巻市に境界確定図を提出する際、境界杭の写真の協力をいただいていることから、市職員のみで行われている。履行確認が問題なく終了すると、協会としての受託業務が全て完了したこととなる。市職員は、課内決済を経て確定図に公印を押し、台帳に記載ののち申請代理人に交付(返却)する。
  こうして石巻支所社員は毎日のように、だれかが担当調査士として立会業務を行っているのである。

4,岩手協会花北支所の研修来訪
 平成11年6月4日岩手協会花北(花巻市・北上市)支所の一行13名が、石巻支所の境界立会業務を研修視察したいと来石することとなった。今までは研修に出かけることはあっても、研修を受け入れる立場は初めてのことで、支所社員一同目を白黒させたのであるが、名誉なことでもあり、何よりもこのような事例が参考となり、ほかに普及していくことは、支所としての願いでもあるので、力不足を承知の上で快くお迎えすることとした。
 研修予定は午前中は室内で、午後からは実際の立会業務を見ていただくことにした。午前の室内研修は、石巻市のご配慮で石巻文化センターの一室を使用させていただくことができた。また、着任間もない道路課長をはじめ、管理2係長以下3名の担当職員も、行政側の考え方を伝えたいとして、大切な公務を割いて出席してくださった。
 また、本所からは理事長はじめ役員の方々にサポートしていただいた。
 研修内容は、本文の前半で紹介したとおりの業務実施前の状況、委託業務立ち上げまでの経過、業務の概要を説明し質疑応答に入った。質問事項は微に入り細にわたり具体的なことが多数出され、強い意欲を持って今回の研修に望んでいることがうかがえた。
 昼食の後の立会業務の見学は、既に申請が出ている件につき、担当調査士と市職員とが力を合わせて立会業を実施するものである。
 当初申請代理人に、この立会を研修に利用させてほしいと申し入れたところ、依頼者や隣接地権者から了解を得ることは難しいとのことであった。確かに当事者にしてみれば、プライバシーの問題もあり、部外者に取り囲まれた状態での立会では、支障をきたすと考えるのは無理もないことである。そこのところは申請代理人も支所社員であり、なんとか関係者を説得してもらい、遠巻きに見てもらえばという条件付きで了解を取り付けた。
 立会業務の見学はあいにく雨の中のとなった。  目に映る立会風景は、いつも見慣れたものとさしたる違いはないものの、ちょうど鏡の中から自分を見ているような、いつもと逆の立場での立会として捉えようと、真剣な眼差しで、立会業務の進行を見守っている姿が印象に残った。
 その夜は、両支所社員の懇親のための一席を囲み、分かり過ぎるほどの苦労話に花を咲かせた。花北支所の皆さんから、お礼の印にと頂いたコンべックスを使う度に、彼らは元気で頑張っているだろうかと思い出される。私たちが託した小さな種が、いつか花北の地に大輪の花を咲かせることを心から願っている。

5,立会業務の効果
 立会業務の効果については、発注者側、受託者側、或はその双方に関係するものもある。又すぐに効果の見えるもの、継続することにより効果を発揮するものなどもある。
 発注者側に関することは、憶測で書くのは僭越であり、本来なら市職員に聞き取り調査をするべきである。又支所側に関することも、社員それぞれに感じ方は千差万別である。従って、ここで述べることは私個人の感想と理解していただきたい。
 1)発注者(石巻市)の効果
 Ⅰ.立会業務処理の期間短縮
 立会申請日から立会日まで、以前は2か月近く掛かっていたものが、3日から10日程度で済むのであるから、現在は往時より申請件数が多少減少したことを差し引いても、住民への行政サービスが格段に向上した。
 Ⅱ.境界管理の質の向上
 行政業務の範疇に、不動産の表示に関する専門職能を取り込んだことにより、予防司法の思想がより強く持ちこまれ境界管理の質が飛躍的に向上し、この先も更に向上することが見込める。あえて見込めるとしたのは、土地の境界問題は5年先、或は10年先以降に発生するといわれているのは周知のとおりである。
 従って、表記の効果がだれの目にも明らかになるのは、残念なことにもう少し先になると見たからである。
Ⅲ.顧問調査士的な石巻支所
 どこの官公署でも土地境界に関することで、解決の糸口さえ見つからずに、悩んでいる問題はあるのではないだろうか。特に立会業務を受託するようになってから、支所に多様な相談が気軽に持ち掛けられ、その結果解決に結びついたり、良い方向に向かった幾つかのケースを見るにつけ、重宝して頂いているものと自負している。
Ⅳ.境界管理の継続性
 立会業務を受託してからわずか4年であるが、市担当職員は既に三代目となっている。平均して1年余りで次々と移動していることになる。ほとんどは未経験者が着任し、やっと状況が把握できたころに、官公署の宿命とはいいながら移動の辞令があり、新任者は又一歩から始めなければならない。その間、立会は委細かまわずどんどん申請され、とりあえず処理するのが精一杯といったところである。
 協会支所が継続的に受託することにより、これらの悩みを相当軽減しているものと受けとめている。

2)受託者(石巻支所)の効果
Ⅰ.継続的業務の確保
 一年を通じて安定・継続した業務を受託できることは大きな効果である。
 調査士業はその特性から単発的な業務が多く、安定した経営が難しいという欠点がある。これを克服するためにも境界管理業務を視野に入れた検討がなされているところである。本業務はいわばその入り口と捉えることができる。
Ⅱ.信頼関係の構築
 前にも述べたが、従来調査士の業務は地権者の代理人として、行政とは相対峙する関係が続いてきた部分もあり、相互に自分の立場を主張する誠にコミュニケーションの乏しい関係であった。
 ところが、立会業務を通じて定期的に、或は必要に応じてお互いに問題点を率直に出し合い、協力して良いものを創っていこうと勉強会を重ねるなど、相互理解が深まった。
 知ってみれば、立場こそ異なるものの、境界の適正管理や紛争予防など、日々同じようなことで苦労し悩んでいるいわば同志である。互いに相手の立場を理解した上で、問題の解決に知恵を出し合う場面が多くなったのである。当然無用の争いに時間を費やすケースは目に見えて減ったと感じている。
Ⅲ.営業上の波及効果
 述べてきたような要因が相まって、ほかの課や係からも業務が発注されるようになり、業務拡大につながった。これは境界確定に権限を持つ管理二係が発信源となり、ほかの部署に対し、測量業と調査士業の棲み分けや、境界管理の重要性に加え、公嘱協会を積極的に活用するようPRしていただいた結果である。
 また、ほかの官公署に営業にいった際、この立会業務を紹介し、公嘱協会のイメージアップに活用させていただいている。
Ⅳ.社員(土地家屋調査士)の意識の向上
 従来調査士は、同業者の経営形態や仕事のやり方を、目の当たりにする機会は少なかったのであるが、本立会業務では、互いに申請代理人であったり、担当調査士であったりすることから、同業者の業務の概要があからさまになった。
 更に、立会業務の中で同業者の業務の不備を指摘しなければならない場面もあり、互いに緊張関係が生まれたのである。従って補助者の教育・服装・測量器械・測量方法・埋標方法・立会申請図書の詳細などについて、同業者の目や耳を自然に意識するようになり、互いに切磋琢磨の風潮が生じてきた。
 このことについては負担に感じている社員がいると思うが、支所全体のレベルアップに資するものであり、特筆すべき無形の効果である。

6,今後の課題
1)委託料の適正化
 私は現在の委託料が、業務に対する適正な評価として反映されているとは思っていない。立会業務が始まった当初は、社員からの苦情も多く、私などは立会の度に不満を口にするものだから、しまいには私の顔を見るなり、「又、お金のことですか」と市の職員に先手を打たれる始末だった。それでも発注者は毎年契約更新の時期になると、厳しい予算の中でもあれこれと腐心してくれているのを見てか、現在は使命感と責任感で補っているといったところである。発注者の事情もあり、早期に実現されるのは困難なことだろうが、真剣に取り組んでいただきたい課題である。
 公嘱協会の課題として、遠隔地からくる担当調査士の負担の大きさも、立会業務に消極的な理由であろうから、負担の平等の観点からも、今後支所としても何らかの対応が必要ではなかろうか。
2)社員の資質の向上
 立会業務の最終的な成果として、復命書の作成がある。これは境界確定図には表現しきれない、境界合意に至る過程や根拠が示されていて、後日の紛争解決の決め手になる場合もある。そのため作成に当たっては境界鑑定的知識が要求されるものである。
 仮に各社員の復命書を並べて比較すると、その力量の差が歴然となる辛さもある。委託料の値上げを求めることも大事だが、その一方では私たち社員が専門職能集団として、更なる信頼を勝ち得ていく努力も求められている。
3)受託体制の充実
 現在の支所事務所は、支所長の個人事務所を使わせていただいている。(いずれの支所も同様であろう。)また、事務処理は支所長と彼の身内の方に手伝ってもらっている。
 立会業務に限らずその他の公嘱業務もここに集中してくる。加えて様々な官公署からの相談もここに持ちこまれ、いきおい支所長に物心両面で過重な負担が及んでいるのである。
 このような状況では、次の支所長が容易に現われないのは当然のことであろう。  このような状況を打開するため、可及的速やかに支所事務所と、専業職員を整えることが石巻支所の課題である。

 石巻市の立会業務について種々述べてきたが、石巻地方も民間業務が著しく減少する一方で、官公署においても税収の落ち込みなどにより、厳しいコストパフォーマンスが求められている。
 協会社員にとっても喜ばしい環境はいまだ見えない中、近年では情報公開やインフォームドコンセントといった耳慣れない言葉が取沙汰され、私たちの世界も業務の結果ばかりでなく、その過程も批判の的にさらされる時代がきた。
 従って、発注者との関係や社員同志との関係においても、甘えや馴れ合いは許されず、今まで以上の緊張関係が求められている。
 専門的〔個〕の業務に限界が見えてきた今、専門的〔集団〕としてのスケールメリットを全面に据えていくことが、21世紀にも生き残れる主要条件のような気がするのであるが、皆さんはどのようにお考えであろうか。
 石巻市の立会業務は、継続してこそその成果があらわれるものである。今後ともこの立会業務が他の良き前例となるよう、官民力を合わせ前進していこうと決意をあらたにしている。